ここ数年で街中で軽バンをよく見かけるようになりましたが、Amazon Flexとはどのような働き方なのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
個人事業主として働くスタイルのため、実際の評判や稼げないという噂の真偽、また業務に必要な黒ナンバーの手続きやインボイス制度に関する悩みなど、参入を検討する上で不安に思うポイントは尽きないはずです。
そこで、この記事では、物流業界に長く身を置く私の視点から、Amazon Flexの実態や始め方について分かりやすく解説していきます。
- 業務委託とブロック制の基本構造
- 開始に必要な黒ナンバーと保険
- 効率的に稼ぐためのオファー戦略
- 個人事業主としての覚悟とリスク
Amazon FLEXとはどのような仕組みの配送業務か

Amazon Flexは、これまでの運送会社の従業員として働くスタイルとは全く異なる、新しい物流の形です。
私たちが普段利用しているAmazonの荷物を、個人が自分の車を使って届けるという仕組みですね。
そこで、ここでは、その基本的な構造について深掘りしていきましょう。
業務委託契約とブロック制の仕組み
まず理解しておきたいのは、Amazon Flexは雇用契約ではなく業務委託契約であるという点です。
つまり、Amazonに雇われるのではなく、Amazonとビジネスパートナーとして対等な契約を結ぶ「個人事業主」として働くことになります。
そして、働き方の最大の特徴は、「ブロック」と呼ばれる時間の枠単位で仕事を受注するシステムです。
Uber Eatsのように配達1件いくらという完全歩合制ではなく、例えば「4時間ブロック」や「8時間ブロック」といった形で時間を予約し、その時間枠に対して固定の報酬が支払われます。
また、ブロック制の面白いところは、時間内に配り終えれば早く帰れる可能性があることです。
逆に、時間がかかっても残業代は出ないため、効率よく配れる人ほど、実質的な時給が高くなる仕組みなんですね。
配送ステーションとエリアの特徴
配送の拠点となるのが「デリバリーステーション(DS)」です。
そして、アプリで仕事を受ける際には、自分が稼働したいステーションを選びます。
そこで、主な業務内容は以下の2つに大別されます。
- 通常配送:各地域のステーションで荷物を積み込み、担当エリアの個人宅やマンションへ配送します。ブロック時間は4〜8時間が主流です。
- Amazon Fresh / Prime Now:生鮮食品や日用品を扱います。温度管理が必要で、配送時間が厳密に決まっているのが特徴です。
AIがその日の荷物量とルートを算出していますが、都市部の密集地やタワーマンションが多いエリアに当たると、ベテランでも時間ギリギリになることがあります。
そのため、エリアの特性を掴むことも、この仕事の重要な要素の一つと言えるでしょう。
報酬の仕組みと支払いサイクルの利点
「実際、どれくらい稼げるの?」というのは誰もが一番気になるところですよね。
そこで、Amazon Flexの報酬は、基本的に「ブロック単価 × 稼働数」で決まります。
ちなみに、これは地域や時期によって異なりますが、例えば東京エリアなら2025年現在、時給換算で約2,000円〜2,400円程度が目安になります。
さらに、セール期間や悪天候時、ドライバーが不足しているタイミングでは「割増(サージ)」が発生し、報酬が跳ね上がることもありますよ。
| ドライバータイプ | 稼働イメージ | 月間想定売上 |
|---|---|---|
| 副業(ライト) | 月12日(1日4時間) | 約97,000円 |
| 兼業(ミドル) | 月12日(1日10時間) | 約244,000円 |
| 専業(フルタイム) | 月22日(1日8時間) | 約358,000円 |
※上記の数値はあくまで試算であり、オファー状況やエリアにより変動します。
また、Amazon Flexの大きなメリットとして報酬が週払いである点が挙げられます。
ガソリン代などの運転資金が必要な個人事業主にとって、キャッシュフローが良いのは非常に助かるポイントですね。
Amazon FLEXを始めるために必要な条件

「自転車で気軽に始められる」フードデリバリーとは違い、Amazon Flexにはしっかりとした準備と初期投資が必要ですよ。
そこで、ここでは、参入のハードルとなる3つの条件について解説します。
黒ナンバー取得と軽バンの用意
Amazon Flexで配送を行うには、必ず「黒ナンバー(営業ナンバー)」を取得した軽貨物車が必要です。
ちなみに、自家用車の黄色ナンバーのまま有償で荷物を運ぶことは法律で禁止されています。
そして、手続き自体はそこまで難しくありません。
管轄の運輸支局に「貨物軽自動車運送事業経営届出書」を提出し、軽自動車検査協会でナンバープレートを変更します。
また、車両については、積載量の多い「軽バン(エブリイ、ハイゼットカーゴ、N-VAN等)」が推奨されます。
それと、乗用タイプの軽自動車でも登録できる場合がありますが、積める荷物の量が少ないため、受けられるオファーが制限される可能性があります。
そのため、本格的に稼ぐなら軽バン一択ですね。
加入必須な任意保険の条件
ここが見落としがちなコスト要因ですが、Amazon Flexに登録するには、一般的な家庭用自動車保険ではなく、事業用(黒ナンバー用)の任意保険への加入が必須です。
そこで、Amazonが求めている保険の条件は以下の通りです。
- 対人賠償:無制限
- 対物賠償:1億円以上
ちなみに、事業用の保険料は、自家用車に比べてかなり割高になります。
もっとも、これは年齢や等級にもよりますが、月額1.5万〜2.5万円程度は見ておいた方が良いでしょう。
また、ネット型保険では黒ナンバーの引き受けをしていないことが多いので、代理店型の保険会社で契約するのが一般的です。
アプリ利用に必要なスマホ環境
Amazon Flexで行う業務のすべては、専用のスマートフォンアプリで行われます。
そのため、オファーの受託から配送ルートのナビゲーション、配達完了の処理まで、スマホがなければ仕事になりません。
そして、アプリはGPSを常に使い続け、サーバーと通信を行うため、バッテリーの消耗が激しいです。
また、地図の読み込みやスキャン処理をスムーズに行うためにも、ある程度スペックの高いスマホが必要になります。
ちなみに、私の周りでも、動作の安定性を求めてiPhoneを使っているドライバーが多い印象ですね。
大容量のモバイルバッテリーと、通信制限のかからないデータプランは必須の経費と考えましょう。
Amazon FLEXで稼ぐための秘訣

ただ漫然とアプリを起動して荷物を運んでいるだけでは、安定して稼ぎ続けることは難しいのが現状です。
そこで、ここでは、少しでも利益を最大化するための現場のテクニックをお伝えします。
アーリーアクセス権限とオファー確保
Amazon Flexの仕事(オファー)は早い者勝ちなんです。
そのため、条件の良いブロックは一瞬で埋まってしまうため、アプリ画面での「スワイプ合戦」は日常茶飯事となっています。
しかし、一定の評価基準を満たした優秀なドライバーには「アーリーアクセス」という優先予約権が付与されるのです。
これを持つと、通常よりも早くスケジュールを確保できるようになり、収入が安定します。
具体的には、週40時間以上の稼働や、直前キャンセルのなさ、未配を出さないことなどが評価につながると言われていますよ。
未配リスクを減らす配送ルート戦略
時間内に配りきれない「未配」は、アカウントの評価を著しく下げてしまいます。
そのため、これを防ぐためには、ステーションでの積み込み時間が勝負です。
そして、熟練のドライバーは、荷物を積み込む際に配送ルートを逆算し、最初に行くエリアの荷物を手前に、最後に行くエリアを奥に積むといった工夫をしています。
これを現場では、「積み込みのテトリス」なんて呼んだりしますね。
また、AIのナビが非効率なルートを示すこともあるため、地図を見て自分で回る順番を判断するスキルも求められます。
さらに、同じマンションへの荷物がルートの最初と最後に分かれていることもあります。
これに気づかずにナビ通りに行くと大きなタイムロスになるため、事前に地図全体を把握するクセをつけましょう。
インボイス登録と経費の節税対策
2023年のインボイス制度導入以降、Amazon Flexで稼ぐ環境も変化しました。
そして、適格請求書発行事業者(インボイス登録)にならない場合、オファーの優先順位などに影響が出るリスクも囁かれています。
ただ、インボイス登録をすると消費税の納税義務が発生するため、手取りは減ってしまうのです。
だからこそ、「青色申告」による節税が重要になります。
最大65万円の控除を活用し、ガソリン代、車両の減価償却費、スマホ代の一部などを漏れなく経費計上することで、税金をコントロールし、最終的な手残りを増やす工夫が必要ですよ。
まとめ
ここまで見てきたように、Amazon Flexは「誰でも簡単に高収入」という甘い世界ではありません。
初期投資もかかれば、経費もかかり、税金の知識も必要になる、立派な「個人運送事業」なんです。
しかし、人間関係のストレスが少なく、自分の裁量で働ける自由度は大きな魅力になります。
副業として週末だけ稼働するのも良し、他の軽貨物案件と組み合わせて専業でガッツリ稼ぐのも良し。
そこで、最も重要なのは、自分自身を「経営者」として捉え、コストとリスクを管理できるかどうかになりますよ。




